特定技能人材の事業所での受け入れ人数について
「特定技能」とは、人手不足が深刻化する日本において、生産性の向上や人材確保などの目的で外国人を受け入れるための基準となる在留資格を指します。日本では介護やビルクリーニング業、建築業をはじめとする14業種で認められており、加速度的にその数を増やしています。
外務省は5年間で14業種の合計、最大34,5万人もの受け入れを見込んでおり、介護業界単体では6万人の受け入れを考えています。
このような流れもあり、人手不足を感じる責任者の方は、受け入れを検討しているのではないでしょうか。ただし注意点もあります。業種によっては受け入れ可能な人数の制限があるのです。
本記事では特定技能人材を受け入れる際の制限やどのくらいの人々が特定技能人材として働いているのかという点を解説します。
基本的に特定技能の受け入れ人数に制限はない
特定技能人材の受け入れを検討している事業者様にとって気になるのがその人数。技能実習生では受け入れ可能人数に制限があることから、気にされている方も多いでしょう。
結論からいえば、特定技能に関して会社ごとの受け入れ人数に定めはありません。ただし、介護と建築の2業種については個別に制限があるため注意が必要です。
なお、労働条件などは日本人と同様にする必要があり、日本人を雇用する時と変わらない採用と言えるでしょう。
介護分野の受入れは「常勤の介護職員の総数を超えない」人数
まずは介護職の受け入れ可能人数に関して、具体的に見ていきましょう。
特定技能1号(本記事で紹介した14業種の内容)における受け入れ人数は、特定の事業所における日本人等の常勤介護職員※の総数を超えないことを定めています。
つまり、常勤職員※10人・非常勤職員20人という職場の場合、特定技能人材の受け入れは10人までということになります。
※常勤職員について 介護の事業所の職員数のカウントの仕方は常勤職員数と常用雇用者数の2種類があります。ここでいう常勤職員(常勤介護職員)とは「常用雇用者数」のことを指し、継続的に雇用されている職員(いわゆる正社員、もしくは正社員と同様の就業時間で継続的に勤務している日給月給者)を指します。技能実習生は常勤の職員には含まれません。
なお前述で、日本人「等」と記載しましたが、これは一定の基準を超えれば外国人でも日本人として計算することができます。下記に該当する外国人は日本人等に含まれます。
- 介護福祉士国家試験に合格したEPA介護福祉士 (EPAとは経済連携協定のこと)
- 在留資格「介護」により在留する者
- 永住者や日本人の配偶者など,身分・地位に基づく在留資格により在留する者
このため、「技能実習生」や「EPA介護福祉士候補者」、「留学生」は日本人等には含まれないこととなります。
実際に全国でどのくらいの人数の外国人が特定技能人材として働いているのか?
では実際にどの程度の人数が働いているのでしょうか。法務省が3ヶ月ごとに発表する「特定技能1号在留外国人数」によると、2020年3月末時点での特定技能人材は3987人となっています。
なお、特定技能1号よりも技能やスキルが高い特定技能2号に関しては、3月末時点で在留はない(ゼロ)ため、この数値は特定技能1号のみと取って間違いありません。
下記では本データについて、詳しく見ていきます。
特定技能外国人が一番多く働く業界は「飲食料品製造業」
2020年3月末時点での特定技能外国人の総数が3987人ですが、業種における分布はどのようなものでしょうか。
2020年3月末時点で、特定技能人材が一番多い業界は「飲食料品製造業分野」です。1402人もの人々が働いており全体の4割弱を占めます。
一方で宿泊分野は19人、ビルクリーニング分野は27人、自動車整備分野は37人となっており、航空分野に至っては1人も働いていない現状。多数働ける業界がある一方で、極端に少ない業界も目立ちます。
ちなみに前述の介護は56人となっており、介護業界は非常に少ない人数で推移しています。
特定技能外国人は「ベトナム」国籍の方が一番多い
国別で見るとどうでしょうか。一番多いのはベトナムで2316人。総数の約6割を占めます。続いてインドネシアや中国、フィリピンとなっており、アジア圏の国々がほとんどと言ってもいいでしょう。
特定技能外国人を一番多く受け入れている地域は「愛知県」
日本国内において、特定技能人材を積極的に受け入れているのは愛知県。人口が多い都道府県ほど受け入れが多くなる傾向がありますが、そんな中でも唯一300人を突破しています。
東京が259人、大阪が188人という点を鑑みると、その多さが伺えます。他方で秋田県や山形県、岩手県は1桁台で推移しており、特定技能人材を採用する産業がない、地理的に受け入れにくいなどの原因が考えられます。
法務省は5年間で最大約34.5万人の受入れを見込んでいる
2019年4月から段階的に始まった特定技能制度。2019年6月末の集計では業種が絞られていたこともあり計20人に留まったものの、2020年3月末では3987人の人材が集まっています。
法務省は2019年からの5年間で約34,5万人の受け入れを見込んでおり、さらなる増加が見込まれます。介護業界や建設業界など、慢性的な人手不足に陥っている業界では、非常に有用な制度と言えるでしょう。これを機に特定技能人材に関する勉強をし、導入を検討する必要があります。
下記は約34,5万人の業界ごとの見込数です。前項では、飲食料品製造業が最多の受け入れを誇ると述べました。一方の介護や建設は、受け入れ見込み数から考えると、まだまだ少ないといえます。
特に人手不足な業界であるだけに、今後の受け入れは必須と言えます。
業種 | 受け入れ見込数 |
介護 | 60,000人 |
ビルクリーニング | 37,000人 |
素形材産業 | 21,500人 |
産業機械製造業 | 5,250人 |
電気・電子情報関連産業 | 4,700人 |
建築 | 40,000人 |
造船・船用工業 | 13,000人 |
自動車整備 | 7,000人 |
航空 | 2,200人 |
宿泊 | 22,000人 |
農業 | 36,500人 |
漁業 | 9,000人 |
飲食料品製造業 | 34,000人 |
外食業 | 53,000人 |
以上、特定技能人材を受け入れる際の制限や、どのくらいの人々が特定技能人材として働いているのかという点を解説しました。
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